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新しいことと出会い、学び、世界を広げ続ける
「いつだってルーキー」な人生の面白み

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#事業立て直し#チャレンジの連続#多角化経営

CEOの仕事観に迫るメディア、CEO VOiCE。今回は、ディライズ株式会社の代表取締役・臼井 優樹氏にインタビューしました。
自らも事業を複数立ち上げながら、ディライズ株式会社を継承したワケ、困難な局面も乗り切るモチベーションの源泉にあるものとは……。

ディライズ株式会社
臼井 優樹
臼井優樹社長のプロフィール画像

ディライズ株式会社代表取締役。同社の他、塾・訪問リハビリマッサージ・テレフォンアポイントメント等複数の事業を手掛けている。

臼井優樹社長のプロフィール画像

「この会社をなくすわけにはいかない」と思わせた、社員たちの存在

臼井社長にとって“働くとは何か”から聞かせてください。

他にも事業を立ち上げていますが、ディライズに関しては本当に必死で、きれいな答えが出てきません。これまでずっと使っていただいているお客様もいるし、働いている人達の真摯さもあって「この会社を潰せないな」という使命感のもと働いています。すこし特殊な例かもしれません。

ディライズさんは、お父様から受け継がれた会社なんですよね。

はい。安全面や労働環境などで未整備な部分が多く、思っていた以上に厳しい状況であることが、父が亡くなる直前にわかり……内情を知ろうと現場に入ってみたんです。

それで、本当に驚きました。
フォークリフトを小走りで取りに行く、資材の切り抜き方も工夫をして「これまだ使えるよね」と、無駄を最小限にする。仕事の量を見て、社員が自ら決めて早出や土曜出勤をする。当たり前の基準の高さ、誰に言われるでもなく協力して仕事を進めていく姿に「こんな成熟した会社があるのか!」と驚かされました。

「こんなに真摯に働く人たちの居場所を、この会社をなくすわけにはいかない」と思い、環境を一から整備することを決めました。

その風土は、どこから来ているものでしょうか。

社員の皆さんがディライズの基準をつくってきてくれたのではないかと思います。

例えばうちのドライバーさんは単に荷物を運んで降ろすだけでなく、相手先の工場で必要な場所までフォークリフトを借りて運んであげるんですよ。それもフォークリフトのガスタンクが切れかけだったら、ガソリンを補充して戻すところまで対応する。
そうすると「〇〇さんに配達してもらえると有難い」と感謝されますし、その場で「これが足りない」と言われてそれが次の発注につながったり、本来クレームになるようなこともすぐに話せるから「じゃあこうしますね」と解決してきてしまったり。運ぶだけじゃない「一歩踏み込んだ仕事」を、誰に言われるともなくしているんです。

また突然「この資材が100枚必要だ」といった依頼が入った際も、全員で協力してつくって特急便で持っていってしまう——そんなことが、私が関わる前から当たり前に続いていたんです。「ディライズの当たり前」は、社員一人ひとりのプロ意識によってつくられてきたものだと思います。

大事にしているのは“同じ目線で共に成長していく”こと

ディライズさん以外の事業についても教えていただけますか。

塾・訪問リハビリマッサージ・テレアポの3つの事業を行っています。どれも「誰かの役に立つこと」を出発点に始めた仕事で、塾以外は縁があって頼まれて始めたものです。

塾は、娘たちが通う年代になったときに良い環境が見つからなかったので、「それなら自分でやろう」と越谷で開きました。
うちの塾の教え方は答えを言ってはいけない仕組みになっていて、これがなかなか難しいので、OBやOGに先生になってもらっています。そうすると、そのお父さんお母さんとの付き合いがずっと続くんです。生徒のお母さんも、先生のお母さんも来るみたいな。面白いですよね。

訪問リハビリマッサージは、利用者さんの息子さん・娘さんに親御さんの様子をご報告差し上げるということになるんですね。
息子さん・娘さんは家庭や仕事があって忙しく、なかなか会いに来られない。でも我々は週に2~3回会っているので「今日こんな話をしましたよ」と連絡するだけでも泣いて喜んでくださいますし、「ようやくケガから復帰されて、立ち上がりも少しスムーズになってきました」なんて話すと「じゃあ次の春はお花見できますかね」と、目標を立てて一緒に頑張るような関わり方ができています。

お客様との距離の近さというのは、臼井社長が働く上で大切な要素なのかもしれませんね。

そうですね。私が働くうえで一番大事にしているのは、相手と同じ目線に立ち、一緒に悩み成長していくことです。これは塾を始めた頃から変わっていません。
塾を立ち上げた時、詰め込み式の勉強ではなく、「知るって面白い」「学ぶって楽しい」と感じてもらえる場所にしたいと思っていました。私自身もそういう学び方をしてきたので、それを子どもたちにも伝えたいという気持ちがありました。

最初からそうできなくても、子どもが勉強する時は親御さんも隣で本を開く。そんな小さな工夫で、家庭は少しずつ変わっていきます。不登校の生徒さんに対しても、どう接したらいいかを親御さんと一緒に悩みました。
私は何か“教えてあげる”という立場ではなく、「自分が実際にやってきたことだけを正直に伝える」「一緒に考える」。その積み重ねでやってきたように思います。

リセットされては学ぶ、の繰り返し……「いつだってルーキー」な人生

新しい事業を始める、ディライズさんを立て直すなど……すごいエネルギーだなと思います。その源泉にあるものを教えてください。

「学ぶことが好き」ということかもしれません。小さい頃から勉強そのものが“道楽”で、学年も関係なく教育テレビを見たり、弟たちと刺激し合いながら、分からないことを分かるようにしていくことが純粋に面白かったんです。先生の説明がつまらなければ教科書をどんどん先に読み進めてしまうような、好奇心の強い子どもでした。

社会人になってからも、その「わからないことに出会ったら学べばいい」という感覚はずっと変わりませんでした。25歳のときに中国の法人に送り出され、年齢がものを言う環境で苦労したり、帰国後全く違う部署に配属されて、今度は営業やマーケティングのスキルが必要になる。勉強してきた分野が毎回リセットされるような経験ばかりでした。
ただそのたびに「またゼロから学ぶか!」と素直に思えたんです。いつだってルーキーというのは、大変ですが(笑)

社会人大学院に通ったこともあり……周りは大企業の部長クラスや専門家ばかりで、普通なら気後れしそうな場面でも、「同級生」として同じ目線で学び合う姿勢に強く影響を受けました。年齢やキャリアに関係なく、謙虚に学ぶ人は格好いいと思いましたし、そういう人たちの中で過ごした時間が、自分の中の“学び続ける姿勢”をより強くしたのだと思います。

仕事でも、全く知らない分野への挑戦の連続でした。訪問リハビリマッサージの事業を始めたときも、最初は筋肉の名前も病名もわからない。でも先生や医師と会話できるように勉強していくと、また世界が広がる。「面白いな」と自然に思えるんです。
最近では工場の設備や電気の知識が必要になって、電気工事士の資格も取りました。知らないと見積もりが妥当かも判断できませんし、現場で起きたトラブルも自分でわかったほうが早いという理由ですが、勉強は純粋に面白かったです。

私にとって「わからない」はマイナスではなく、成長のチャンスだと感じる性格なんだと思います。次々とリセットされる環境に放り込まれてきたからこそ、“学べばできるようになる”という実感が積み重なり、自然と今の価値観が作られていきました。

だから今でも、何か新しいことが起きると、「また広がるな」「面白いな」と感じる。そういう少年みたいな好奇心が、いまも自分の根っこにあるんだと思います。

編集後記

社員の方々の丁寧な働きぶりや、お客様との距離の近さを語るときの社長の表情から、ディライズという会社が“人の真摯さ”によって長く支えられてきた場所なのだと強く感じました。 「働く」ということが、誰かと一緒に悩み、支え合い、成長していく過程そのものなのだとあらためて気づかせていただいた、そんなインタビューでした。

編集:佐藤 由理

「ディライズ株式会社」概要

石膏ボードのプレカット事業を専門とする企業、越谷市・さいたま市を中心に埼玉県内および近隣県で展開。小規模から大規模ロットまで幅広く対応し、工場受取・使用しやすい順番での積み付けサービスなども提供している。

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