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“今”を最高の伏線に変える考え方「“好きを仕事に”ではなく、その仕事を好きになる」

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#仕事を好きになる秘訣#技術者から社長職へ#日本経済再興

株式会社シイエヌエスの代表取締役社長・関根 政英氏にインタビューしました。
「技術で食べていきたかった」と語る、根っからの技術者が、社長までキャリアアップをしたのはなぜなのか。関根氏の価値観を変えたターニングポイントと、仕事観の変遷を伺う中で、より楽しく、より大きな仕事をするためのヒントが得られました。

株式会社シイエヌエス
関根 政英
関根 政英社長のプロフィール画像

1988年住信情報サービス株式会社(現三井住友トラスト・システム&サービス株式会社)に入社し、システム基盤更改の案件等に携わる。
UNIX系の技術を得るため、1993年シイエヌエスに入社。 食品トレーサビリティシステム開発等の新技術を活用した業務を担当したほか、受託開発に続く基盤ビジネスを立ち上げ、主要顧客の開拓を推進。 2015年より代表取締役社長。

関根 政英社長のプロフィール画像

“営業”に目を向けた時から、キャリアがガラリと変わり始めた

1社目に三井住友トラスト・システム&サービスさんを選ばれたのはなぜですか?

僕はコンピュータの専門学校を出たのですが、就職先は、今のようにホームページなどもないので、学校に置いてあるペーパーの分厚い求人票を見て選びました。
その会社を選んだ理由は安定していそうだったということと給与です。今振り返ると、意外と保守的だなと思いますが(笑)

そうだったのですね。入社されてみてどうでしたか。

結果的には良かったと思います。有難いことに、希望する部署へ配属していただき、1年目から評価もしていただきました。

当時、仕事の手順がまとまっていなかったり仕組みが整っていなかったりして、みんな残業が多かったので、そうした煩雑な部分にメスを入れて改善していったんです。
その結果、みんな残業をせずに帰れるようになった、なんてこともありました(笑)

素晴らしいですね。それからなぜ転職されたのでしょう?

「もう少し稼ぎたいな」とか「もっと新しい仕事をしたいな」と思うようになっていったんです。
会社は好きだったし、今でも付き合いのある仲間がいるくらい仲も良かったのですが、次のステージへ進むタイミングだったのかもしれません。そして出会ったのがシイエヌエスでした。

取締役、副社長、社長とキャリアを積み上げていかれたとのことですが、なにか価値観やキャリアを一変させるような出来事はあったのでしょうか。

技術職で入社して「技術で食べていきたい」という気持ちが強かったので、営業の上司から「仕事を取ってくる先あるのか」と質問されても「そんなことをやる気はないので」などと尖ったことを言ってしまったり、営業は他の人の仕事だと思ったりしていました。

でも、自分でチームを持つようになると、やっぱり仕事を取ってこられなければチームのメンバーがいい仕事をできないのだと気づき、営業的な部分にすごく興味が湧いたんです。
また当時は金融分野の業績がすごく伸びていたのですが、営業に興味が湧くと「業績を出している金融のチームの成績を追い越したいな」なんて欲も出てきて。

まずは「営業をやろう」と思えたこと「チームで協力して大きな仕事をしたい」という向上心も芽生えたことが、ターニングポイントだったのかなと思います。

トライを重ね、仕事の中に
「面白い」と思えるポイントを見つけ出すこと

そうした経験を経て、今“働く”とは何だと思いますか?

昔から“稼ぐ”ということが価値観の中心にあります。頑張って働き、稼ぐことへの憧れが強く、中学卒業時点でもう働きたいと思っていたぐらいだったので…先生には止められましたが(笑)
ただ働いていくならやっぱり好きなことを仕事にする、もしくは、やっている仕事を好きになれるとか、そういうものが働く上で必要なことだと思います。

好きなことを仕事にするのは難しいかもしれませんが、今やっている仕事を好きになることはできると思うので、好きなことが働くことになるというのが理想なのかなと。

関根さん自身はどうですか。

僕は有難いことに、好きなことを仕事にしているのか、この仕事を好きになったのかはよくわからない環境で働けています(笑)

働けば稼げるし、稼げればプライベートも充実します。働くと遊ぶことのバランスがだんだん整ってくるので、そういう考え方をするのが大事なのかなと捉えていますね。

それができずに悩む人も多い気がします。

僕も、仕事自体が好きだったわけじゃないんですよ。
ではなぜ好きになったのかというと、働く人とその仕事の内容の面白さに気づけたから。自分で「この仕事のここが面白いな」と思えるポイントを見つけ出すことが、好きになるために大事なことだと思います。

それには、振られた仕事を言われた通りにやるのではなく、自分なりに考えてみること。
例えば「きみ、コピーを100枚取ってきて」と言われたら、どうやって早く終わらせるかを考えるとか、二度と頼まれないようにするために他のやり方を提案するとか。努力しないと楽しさって見つけられないじゃないですか。

仕事とは、自分なりに色々トライして、自ら仕事の難易度を上げたり幅を広げたりしていく中で、だんだん面白くなっていくものです。大谷選手だって、レベルの高い舞台へ行くからこそやりがいがまた生まれているわけですよね。

今「好きじゃない」「できない」というだけで辞めてしまわず、なにか一つ面白いポイントを発見しようと努めることが大事です。

日本経済再興のため、髪の毛ほどの太さでも努力を

最後に、若者へメッセージをお願いします。

先月、IT技術の視察のためアメリカへ出張しました。視察の中で人と関わったり会社の話を聴いたりして、アメリカ経済が元気な理由がよくわかりました。
やっぱりすごくチャレンジをしているんですよ。人々が新しい取り組みを生み出し、社会に適用できるように働きかけている_そんな会社がたくさんあるからこそ、発展している。
他方日本はそういう環境がなく、どんどん円安になり、国民は今の生活に不満を持っている_そんな状況にありますね。

これからの時代をつくっていく皆さんには、このしぼんだ経済の中で働こうというより、プロアクティブに行動できる人材になってほしい。日本人がそういうふうに変わっていかないと、30年しぼんだままのこの経済状況は変わりませんから、そういった気概を持って働いていきましょうと伝えたいです。
髪の毛ほどの太さの一歩でもいいので、努力していく若者であってほしい。

そして、だからこそ我々世代は、彼らがやりがいを持って楽しく働ける環境をつくっていきたいと思っています。

編集後記

好きになるには、ある程度の努力が必須。それは苦しく難しいことなので、多くの人はその選択肢を避け「好きなことが見つからない」と悩むのかもしれません。 しかし本当は、その方が幸せへとつながっているのだと関根氏が教えてくれました。その真実に向き合わされた今、どうして目の前のことから逃げられるでしょうか。どうかひとりでも多くの悩める人へ、この記事が届きますように。

編集:佐藤 由理

「株式会社シイエヌエス」概要

1985年に設立後、ICT業界の変化をいち早く察知し、新しい分野に挑戦することでその先取性により事業を拡大した。クラウド構築、ビッグデータ分析、業務ワークフローのデジタル化などを通じて、顧客企業のDXを支援。 2021年に東証マザーズに上場、翌年グロースに移行。2022年10月に初の自社サービスU-Wayをリリース、2024年には企業のビジネス変革デザインを支援するコンサルティング事業を立ち上げた。

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