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「感覚に頼らず、ロジックに落とし込むこと」
絶えず前へ進むための実践的アドバイス

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#一番のインプットは仕事現場#長期視点#ロジック体質

株式会社EMOLVAの代表取締役社長・榊󠄀原 清一氏にインタビューしました。
「すべてにおいてロジック体質」と語った榊󠄀原氏。“ロジック”という字面だけ見ると冷たく感じられますが、その本質はむしろ、キツイ状況に直面している人の心を本当の意味で救う、実践的なアドバイスでした。

株式会社EMOLVA
榊󠄀原 清一
榊󠄀原 清一社長のプロフィール画像

東京理科大学大学院を卒業後、株式会社サイバーエージェントへ入社。エンジニアを経て、2015年にSNSの総合商社、株式会社EMOLVAを設立。
SNSマーケティングの専門家として業界を牽引。500社以上の企業にSNSマーケティングサービスを提供している。

榊󠄀原 清一社長のプロフィール画像

一つひとつ、長期視点で捉え、ロジックに落とし込んでいく

昨今の若者の仕事観への所感を教えてください。

日々若い方と接する中で感じるのは、成長意欲や向上心、責任感がないということです。

私は、20代~40代にそれぞれ強みがあると思っています。
30代は、20代で得た知識やスキル、ビジネスマナー、人脈などをもとに強くなっていけるし、40代はそれを活かして人を動かしたり育成したりする方へシフトしていくことができる。
そしてその土台である20代は、とにかく吸収の時期ですよね。

私が20代の頃は、新卒入社したサイバーエージェントで、マックス3徹するくらいには働いていました。
仕事を通じて得られるものの大きさや、このキツイ経験が今後の糧になっていくと思っていたので乗り越えられましたし、実際にそれが今につながっています。

いかに苦労するかが30代以降の明暗を分けると思うのですが、若い世代を見ているとなんというか…もったいないなという気持ちになります。

榊󠄀原さん自身は、物事を長期視点で捉えられていたのですね。

そうですね。私は“そつなくこなせない”タイプなんです。
どんなことも数年単位でやらないとできるようにならないからこそ、前提として、短期的には何も見えないものだと思っています。

またそれは“長期的に取り組んだことはゼロにはならない”とも言えます。継続していれば少しずつでもプラスになっていくし、その程度の変化でもいいと思って取り組んでいます。
こういう考え方なので、目先の辛さや無意味に思える瞬間、周りの意見などに左右されないのだと思います。

色々なことをロジックに落とし込んで考えられているのですね。

基本すべてにおいてロジック体質です。感覚に頼るよりも、すべて理由付けしていったほうが楽かなと思います。

私は、高校時代友達がいませんでした。それでも登校拒否にならなかったのは、学校へ行く目的が“友達と接すること”ではなく“大学へ進学すること・勉強すること”だったからです。
少しは寂しい、つまらないという気持ちもあったかもしれませんが、目的は別なので友達がいようがいまいがどっちでも良かったんですよね。
周りからどう見られても「自分には自分の目的がある」とロジックで落としていけば、気にせず進むことができます

榊󠄀原 清一社長の会議中の様子

結論付けることで、その出来事をプラスに変えて前へ進める

一歩ずつ着実に進んでこられたのだと思いますが、逆に“諦めたこと”はありますか?

“終わる”ことはありますが、それは“諦めた”ことにはならない。そこまでやったこと自体がプラスだと思っています。

例えば私は、今は(ファーストキャリアの)エンジニアとして働いてはいません。これは見方によっては“エンジニアのキャリアを諦めた”とも捉えられるのかもしれませんが、先ほどの三徹したという話にもあったようにその仕事をやり切りましたし、その延長線上に今がありますし、だからこそ今のようなロジック体質が強くなったとも言えます。

つまり、エンジニアを辞めても、それまでやってきたことは今に活きているので、諦めた・挫折とは思わないんです。

もしかしたら5年10年先、私はSNSマーケティングをしていないかもしれませんが、それ自体は問題ではありません。
むしろこの経験を糧に、まったく違う業界に行ったとしても良いと思います。何をやるかではなく、そうした経験を通じて私が成長していることにこそ意味があるので。

そこもロジックに落とし込んで考えていらっしゃる、と。

私の場合、ロジックに無理やり落とし込んでしまうこともあります。もう「そうだった」としてしまうというか。

結論がふわふわしていると、感情が揺さぶられます。結論付けてしまえば「そうだったんだな」と、悩んでいたとしてもそこで終わる
それに、こういうことで失敗してしまった、じゃあ次こうすれば繰り返さないだろう、今後こうしていこうというパッケージにしてしまうことで、失敗もプラスに変わると思います。

訓練しないとできないと思うので、実践します。

でもこれって、就活の自己分析と似ているんじゃないかなと思いますよ。

過去やったことを一度洗い出してみて、なぜこういうことをしたのか考えるって、自己分析じゃないですか。それはロジックに落としていくことと同じだと思いますし、そうすると自分の芯が見えてくるし、その芯に基づいて判断できるようになるので一貫性も出てきます。
ですから私は、そういう意味では就活が楽でしたね。

働くとは「成長を可能にする、ひとつの方法論」

そんな榊󠄀原さんにとって“働く”とは。

私は「常に成長したい」と思っていて…働くとは、人間としての成長を可能にする、ひとつの方法論かなと思います。

仕事は課されるものです。勉学と違って責任を与えられるからこそ、成長につながっていくと思うんですよね。
また、私が経営者の職を志したのは、責任が重くなるほど得られるものも大きくなっていくからです。経営者としての重責は精神的プレッシャーを伴いますが、その分、自らの理念に基づいた経営と、価値創造の機会が得られます。

様々な人と関わり、責任の範囲を広げていくにつれてプレッシャーは増大しますが、その重圧と真摯に向き合えば向き合うほど、得られる成果は大きくなっていきますし、成長も確実に遂げていきます。
楽な道のりで得られる小さな成長より、より多くの努力・苦労を経て得られる大きな成長の道を、私は選びました。

ここまで明確に考えを言語化できるのがすごいなと思います。普段どのようなインプットをされているのか教えてください。

私の場合、インプットする時間すらもないぐらい仕事をしていて…もはや「一番のインプットは仕事現場だ」と思っています。

もちろん、書籍やセミナーから得るものもあると思いますが、私は昔で言うところの“現場主義”です。
仕事をひたすらしていれば日々課題にぶつかるので、それを解決することもインプットになりますし、打ち合わせで新しい意見を聴くことも、今こうしてお話させていただいていることもインプットでありアウトプットだと思うのです。
仕事は、どういったツールよりもインプットアウトプットを瞬間的にできるもの_これも、私が働く意味に通ずるのかもしれません。

今日の学びがすぐ成果へつながることはないと思います。
しかしその成長は、次の営業や、経営の新たな考えにつながるかもしれない。やはり、目先で「今これをやる理由があるのか」と考えるのではなく、長期的に捉えて目の前のことと向き合うことが大事ですね。

編集後記

ロジカルに考えるからこそ、気持ちの整理がつく、その失敗が次への学びとして活かされる、正しい判断ができる、成長につなげていくことができる。ロジックに落とし込むという行為は、結果的に最も“自分の心に寄り添い、幸せへと導く”ことにつながるのかもしれません。
感情や短期的欲求は脇に置き、一度ロジカルシンキングを実践してみようと思いました。

編集:佐藤 由理

「株式会社EMOLVA」概要

事業内容:企業のInstagram、TikTok、X(旧Twitter)、YouTubeなどのSNSアカウント運用代行や、インフルエンサーを活用したプロモーションを含む、SNSマーケティングの総合的な戦略立案から実行までを手がけている。

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