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「“自分の勝ち筋”を見つけていく」
環境に囚われず、成果を出す人の思考

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#業界を変える#「誰かのために」#好きこそものの上手なれ

CEOの仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回お話を聞かせてくださったのは、株式会社広済堂ホールディングス・前川 雅彦氏です。
“働くとはなにか”から今後の展望までを伺っていく中で、前川氏のキャリアの根底に在る、磨き上げられた仕事観が見えてきました。

株式会社広済堂ホールディングス
前川 雅彦
前川 雅彦社長のプロフィール画像

国内・外資系の銀行・証券・運用会社にてエコノミスト・アナリストを中心とした業務を経験したのち、日本郵政株式会社へ入社。
2017年、日本郵政キャピタル設立を主導し、常務取締役・投資部門責任者として、mercari、Sansan、Smart Newsなどの大型案件を手掛けた。20年8月DGベンチャーズへ参画。21年AGE technologies社外取締役、24年株式会社広済堂ホールディングス代表取締役社長に就任。

前川 雅彦社長のプロフィール画像

「誰かのために」
幼少から現在まで、前川氏の根底に在り続ける精神

前川さんの、“働く”ことへの価値観を聞かせてください。

全く違う仕事をしてきたので、これと言うのは難しいですが…働き始める前から社会貢献には関心がありました。
自分のやることによって社会に起こせるインパクトが大きいほど満足感を得られるし、それが人々のためひいては日本のためになればいいなということは常に考えていますね。

そのお考えはどのようにして形成されていったのでしょう?

祖父が議員だったんです。地域に貢献する背中を見て育ったことが、ひとつの原体験になっているのかもしれません。
またゲームをさせてもらえない代わりに本だけは買ってもらえるような家庭だったので、小学校低学年から司馬遼太郎を読んでいて(笑)
ほかにも戦国時代や三国志にも興味を持ったりと、幼い頃から“世の中で大きなことを成し遂げる人の意志”にたくさん触れてきたことが影響しているのかなとも思います。

それなりに勉強ができたこともあって、小学生ながら、先生に頼まれて低学年の子に勉強を教えたり、補修の先生をしたりしていました。“他人のため”という軸は、ずっと変わっていませんね。

素晴らしいですね。

いえいえ。でも結局、他人のためにしたことは自分に返って来るんですよね。この7年間してきた“ベンチャー投資”も同じく、本当にギブの精神が大事な世界です。

あるスタートアップ企業に対して、(自分が投資しているということを差し置いても)彼らに成功してほしいと思い、自分のコネクションやネットワーク、知見を活かしてずっと手助けをしてきました。
その結果、経営者との繋がりがどんどん広がっていったんです。それは私のビジネスチャンスをも広げてくれました。まさに“情けは人の為ならず”ですね。

前川 雅彦社長インタビュー時の様子

自分の“好き”に正直に、そして愚直に努力し
「自らの勝ち筋を見つける」

様々な経験をされてきた前川さんから、会社選びについてアドバイスを頂きたいです。

前提“好きなことをやればいい”と思います。結局人間は、好きなことを1番頑張るからです。

例えば私は泳ぐのがあまり好きじゃないので、トライアスロンで2キロ泳いだ時は死にそうになったのですが(笑)水泳選手にとっては2キロなんて楽勝だというじゃないですか。
逆に私は、20キロ走るのは平気なんですよ。立っているのが1番辛くて、次に歩くことで、走るのが1番楽なんです。つまり人によって得手不得手がある。

“総合職”が求められていたことからもわかるように、昔は不得手をなくすことが最重要視された時代もありましたが、これからは得意や頑張れる方に特化していくことが重要だと思います。

会社選びに当てはめると、その会社が“どういった人の育て方をしているのか”を見るのが良いと思います。
自分はゼネラリストになりたいのか、エキスパートになりたいのか。エキスパートの中でもどの分野で秀でたいのか考えて、それにあった業界や、育て方をしている会社を選ぶことです。

“好きなこと”という言葉も、そう聞くと重みが変わりますね。

本当に、“好きこそものの上手なれ”。これに尽きると思います。好きなことをやった方が頑張れるし、ストレスも少ないし、結果につながります。

これまで、前川さんに強い影響を与えた人や指針となってくれた人はいますか?

どうでしょう…特にいないような気がします。
仕事とはルールの決まったゲームであり、そのルールと自分の特性を踏まえて“自分の勝ち筋”を見つけていくものだと思うんですよね。それは人によって違って、真似できるものではありません。

私も結構転職していて…そのすべてで大成功したかというとそんなことはありませんが、どれも自分なりに突き詰め、勝ち筋を見つけて成果を出してきました。

もし今負けているなら、誰かに教えてもらったり、真似ようとしたりするのではなく「それに対してどれだけ努力しましたか?」と問い直すべきだと、私は思います。
もうちょっと努力していれば勝ち筋が見えたかもしれないし、何事も途中で投げ出すと成果は出ませんから。

“変革マインド”を持った人を迎え、
業界に新たな道を拓いていきたい

前川さんが今挑戦されていることを教えてください。

当社では現在、エンディング関連事業に注力しています。

東京都でお亡くなりになられる方は、2065年には今の1.5倍になるというデータが出ています。今でさえ火葬は1週間~10日待たなくてはいけないと言われているんですが、業界に入ってみて「やり方次第で火葬待ちはなくせる」と思いました。

また、 独居老人の孤独死が社会問題化していますが、“一定の年齢以上の独居の方が、賃貸住宅への入居を断られる”ケースも増えています。ただ、安否確認から亡くなられた後のことまでセットで対応できるようなサービスをつくれば、この課題も解決できるのではないかとか…そんなことを考えています。

実現したら、確実に求められるでしょうね。

お亡くなりになる方は増えていくので、火葬・葬儀とそれに関連する事業は遺された方にとって利便性の高いものではなくてはいけませんし、それ以前に健康なうちにもっと色々なことにチャレンジできるような支援もできたらと思っています。

今はそういったプレイヤーがあまりいない上に、公営で行われている部分も大きいので、既存のサービス内容からなかなか発展しづらいのですが…私たちから業界を変えていきたいと思っています。

今後どんな方と働きたいとお考えですか?

今はどちらかというと、お客様の方を向いて「親身になって対応したい」と考える優しい社員が多いのですが、今後は「社会を変えたい」という強い信念や変革マインドを持った若い方にも入ってきてほしいです。

私自身「事業会社の社長になると、こんなにも速く大きな事業を実現できるんだ」と実感しているところで、ここからもっと変えていける自信があります。
需要がある一方で遅れている業界を“変えてゆく”ということはとてもチャレンジングですし、そこに携わる達成感は絶対に感じられると思います。

編集後記

「好きなことをやればいい」「勝ち筋を見つけるまで努力するだけ」_前川氏の仕事観は非常にシンプルです。しかしそれは、相応の努力と経験を持って“洗練させてきた結果”と言えるでしょう。
私も前川氏のように、自分の言葉で“働く”を語れるようになりたい。そしてその言葉を磨き続けるような働き方をしたいと思いました。

編集:佐藤 由理

「株式会社広済堂ホールディングス」概要

1949年に印刷会社として創業。その後、㈱廣済堂として葬祭事業、人材サービス事業などへ業容、事業規模を拡大。2021年、持ち株会社体制への移行に伴い、社名を㈱広済堂ホールディングスと改める。
2024年、前川雅彦氏が代表取締役に就任、葬祭事業をシニア・エンディングプラットフォーム事業としてサービス領域を拡大するなど、超高齢化社会、人手不足などの社会課題を解決するため、新たなステージに向かっている。

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